2011年2月13日日曜日

最先端・次世代研究開発支援プログラムの問題点

このプログラムは政府の新成長戦略に基づく若手研究者の支援制度だが、公募の過程において2つの異常ともいえる大問題があった。まず、決定が年内に行われず、2月半ばまで伸びたことで4月以降の研究室体制に大きく影響が出たことである。2月まで発表を伸ばして落選した研究室は、崩壊してしまうほどの大打撃を被っているところも多いだろう。しかも若手で優秀な研究をしている人が被害にあっているため、将来にわたって多大な国家的損失につながる可能性がある。そして、このプログラムは他の競争的研究費への重複応募が一切できないものであったため、日本学術振興会の審査が終了した11月初めの時点で落選が分かれば、来年度の他の研究費に応募するチャンスがあったのだ。この機会損失も計り知れないものがある。そしてポスドクや事務補佐員などの人件費が絡んでいるため、研究者本人だけの問題にとどまらず、結果として沢山の人の運命をもてあそんだ最悪のプログラムと言わざるを得ない。
第2の問題点は、審査中にもかかわらず時期をおいて2つの追加書類を提出させた点である。一つは、予算の積算根拠を明白にした書類であり、もう一つは研究の内容を一般向けに簡単に説明する書類である。予算の書類記入は膨大な手間がかかるものであり、かなり慎重に準備して書いている研究者でも再提出というのは考えられないことである。また、もう一つの書類に関しても、すでに研究目的や成果に関して分かりやすく書いていた人も多いと思うが、こちらも再提出というのは前代未聞である。分かりにくい申請書ははじめから落とすべきであり、そして、審査する側は事前にしっかりと記入要綱を準備すべきである。きちんと書いていた人まで再び多大な労力をかけて似たような書類を用意しなくてはならない、というのは時間の無駄以外の何物でもない。そして、再提出の時点では、おおよそ審査は終わっていたはずであり、そこで落選がほぼ決まっていた人まで提出させるのは、いじめとしか言いようがない酷い仕打ちである。
以上、このプログラムの応募で被害を被った人はたくさんいるはずであり、そういった人たちの集団で国に対して訴訟することもできるぐらい問題があったと考えられる。少なくとも落選した人たち全員に、国は誠意のある落選理由書を送付し、謝罪をすべきではないだろうか。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

怒りはごもっとも。さらに言うと、特定の分野の人たちと女性にだけ金をばらまくこんなばかげた税金無駄使いのプログラムは、無視すればいいと思います。日本の大学(特に地方大学)は先進国の大学とはいえない貧しさで、こんな無駄使いを国はしている暇はない。民主党は自民党が破綻する前に作った一点豪華主義の下らぬプログラムさえ事業仕分けできていないで、役人と学会やくざのいいなり。お金よりもこころを大切にしましょう。

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